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メガストアとVIPERシリーズ

メガストアにあの“VIPER”シリーズが!?&テックアーツ謹製小冊子付き

『VIPER』シリーズの帰還

こりゃ懐かしい……といっても、わかる人にしかわからない話ですね。よーし、お父さんメガストアvsソニアの件について語っちゃうぞー。

むかーしむかし、Windows95が発売される前、パソコンといえばPC-9801シリーズ、OSといえばMS-DOSという頃の話です。当時のパソコンは今と比べ非常に非力で、グラフィックは640×400ドット・16色、ソフトはフロッピー*枚組で供給、アニメーションなんて無理に決まっている、そんな時代でした。しかし、そんな時代に異彩を放っていたソフトハウス、それがソニアでした。アニメには不向きといっていいPC-9801、しかもフロッピーによるソフトでありながら、(部分部分ではあるものの)ちゃんとした絵がちゃんとエロエロに動く『VIPERシリーズ』を継続して発売しており、一部に根強いファンを持つソフトハウスでした。

さて、そんな時代から既に存在したエロゲー雑誌「メガストア」には、ファミ通クロスレビューをパクったようなコーナー「美少女ゲームクロスレビュー」がありました。これがトラブルの発端です。決裂後に、ソニアの配布していた小冊子「ソニアインフォメーションVol.2」に書かれていた文を、テキスト起こししてみました。


インタビューのページ P・ウォリアー氏に最近話題の広告について聞いてみました。

O:なんか結構話題になってますね。広告が。
P:わはは、そうね(笑)意外と。業界の中でも話題騒然だって(笑)まあ、でもやらないかんかったやろな。「業界の向上のため」に(笑)
O:でもどういう経過だったんですか?
P:うーん、まあ1年程前からかな。おかしいなと思い始めたんは。・・・宣伝すえうわけじゃないけどコアマガジンから出てるVIPERの小説のあとがきにも書いてるんよ。ちょっとおかしいぞって。自分の好みだけで勝手な判断するんはおかしいんちゃうかな?情報を伝えるメディアとしては。いや、別に批評するのが悪いとは思わんよ。ただな、批評をするには能力がいるんやなこれが。分析力とか判断力とか。的確でなければいけないからさ。ま、そういう意見をしといたからなおのことうちには悪意を持って書いてるのかもしれんけどね(笑)いずれにしてもつき合うには値しないよね。
O:そうですね。
P:例えば、自動車雑誌ランボルギーニの記事を書こうとした時に免許取り立てのパートのおばちゃんに書かせる?
O:そんなことはまず無いでしょう。
P:でしょ?もしそのおばちゃんに乗せたらさ、視界は悪いは車幅はでかいはクラッチ重いわハンドル重いわで『ひどい車だ』ってことになるんじゃないかな?でもそれはランボルギーニがだめな車だから?
O:そんなことはないでしょう。
P:そう、それはそのおばちゃんがランボルギーニランボルギーニとして扱えるだけの能力がまだ無いからなにょ。また、ランボルギーニがそういう人をターゲットに作ってはいないからなんだよね。誰もが自由に扱えるカローラもすごいけどカローラランボルギーニの魅力って全然違うもんでしょ?でも彼らはそれを理解できないでおばちゃんの意見『ひどい車』をそのまま記事にしちゃう。で、彼らが言うにはそのおばちゃんの署名記事だから何書いてもいいんだと(笑)
O:はあ(笑)
P:そのおばちゃん誰なんだって(笑)誰も知らない変なペンネームのライターは(笑)そんな無責任なことで読者やメーカーに対して責任取れるの?
O:責任なんて考えて無いんじゃないですか?
P:アニ○ージュであさりさんがどんだけ言ってもそれは的確な判断力と分析力があるからであってさ、的確だからこそ批評に成り得るんだよね。また、カーセン○ーで所さんが自分の好みで好き勝手なクルマ評を書いてるけどそれは所ジョージという主義主張のはっきりとしたキャラクターが認知されてるからこそであってさ。誰もがそれを言う資格があるわけじゃないんだ。
O:そうですね。そこは勘違いしないようにしないと。
P:でもなんだありゃ?って言うとさすぐすいませんって謝るんだよね。で、あのコーナーいは載せないようにすることも出来ますけど・・・とかさ。じゃ、何のためにやってんのさ?所詮リングに上がることの出来ないもんが遠くからヤジってるだけのことでさ。言い逃げしてるだけだからね。それにさ、新興メーカーが何か新しいことをやろうと思った時に、それが彼らの好みと既成概念に合わないってんで『だめだ』って書かれたらさ、可能性を潰しちゃう恐れがあるわけでしょ?それが彼らの言う『業界の向上』なのかな?全部が彼らの好みに合うことが?
O:いろんな選択肢があっていいと思うんですけど。
P:そう。その選択肢の中からどれを選択するかはユーザーなんだよね。だからユーザーが判断するための『正確な情報』を提供していくべきでしょ?『歪んだ情報』流してどうるんの?しまいにゃ盗作の宣伝までするしさ。
O:盗作ですか?
P:エ○フのオマケDISKじゃないよ(笑)あれを宣伝するのはいっこうにかまわんけど(笑)マネとかいう次元の話じゃなくてさ完全に盗作なんだよね。あれを描いた原画マンも知ってるしさ、本人に確認したから。なんでもシナリオと一緒に『参考に』ってVIPERの原画集渡されたんだって(笑)そしたら原画集に載ってた原画丸移し(笑)
O:何ですかそりゃ?
P:いや広告見たらさ「あ、松ちゃん(V8の原画マン)の絵だ」とか「あ、桂さん(V10の原画マン)の絵だ」とかいっぱい(笑)そいでなんだって?常識を変える!とかいってたんだっけ?確かに非常識だわ(笑)
O:ちょっとそれは(笑)
P:アニメーターは動きのある絵を創るのが仕事なんだよ。それをさ、人の原画の顔だけ変えて・・なんていうのは小説家が他人の小説を登場人物の名前だけ変えて使ってるのと同じでしょ?まあ、所詮そういうやつだからそれ自体は別にどうでもいいんだけどそれを「一流アニメーター」とか書いてたのが腹立つね。そりゃ確かにうちのスタッフは一流だけどさ、それ写して一流って言われても(笑)
O:そういう所には過敏に反応しますね(笑)
P:まあね。アニメーターがなめられるのが一番腹立つからね。あんなやつ一流なんて言ったら他のアニメーターに失礼だよ。でも、そのソフトをあの本は大きく祭り上げちゃったんだねこれが。普段は付かないFDまで付けて。
O:何でですか?
P:何でだと思う?俺を聞いたんだけど『営業がよく来るから』だってさ(笑)その数週間前くらいに小説の件で会った時にあのソフトが盗作だって話が出たはずなのにね。『内容は知らなかった』ってさぁ、内容知らない物を何で本に付けるの?営業がよく来て顔見知りだから内容がどんな物か知らないけど本にFD付けてあげましょうって?例えば付くFDがエ○フとかア○スとかならわかるよ、そりゃユーザーも欲しがるって。ユーザーが求める物を提供する、それは正しい姿勢だと思うよ。でも誰も知らない新しいブランド・・・あくまでもブランドね。しかも盗作。それをわざわざ付ける意味っていったい何なの?しかもそのコストはユーザー負担でしょ?値段上がってるんだから。で、『知らなかった』で何ら責任は取ろうとはしない。『内容はどんなものかしらないけど営業がよく来て知り合いだから大きく宣伝しましょう。」そんなのが業界のためになる?ユーザーのためになる?イチ押しで勧めてた血液製剤にウィルスが入ってた。でも自分は知らなかったから責任はない。って言ってるのと同じなんじゃない?知る機会はいくらでもあったのにさ。
O:でも絶縁するだけならけっこう聞きますけど広告で出しちゃいましたもんね。普通金払ってまでやりますか?
P:扱いづらいやろな、うちは(笑)損得勘定で動かないからね。金払ってでも言わなあかんかったやろ。でもあれが引き金になったらしくてさ、いろんなメーカーがうちに賛同しているみたいだな。中にはこの機に自分のとこを売り込もうとしてるところもあるみたいだけど。前もあるメーカーはあそことは絶縁してたし。V16のキャラに似てるやつのとこ(笑)あの件もやっぱり本に対する信頼の問題だったしね。今、週刊プロレスに対して新日本が言ってるのと同じだと思うね。『いろいろな見方があるのは当然だけどそのうちのただ一つを絶対のように書くことが業界にとって良い方向に向くとは思えない』と、業界の将来を真剣に考えてる新日本は言ってるわけよ。マスコミに業界を操られることは危険だってね。だからやっぱここでやって正解だったんじゃないかな、うちでないと出来なかったかもしれないし。エ○フとかア○スとかの大手がやっちゃうと変に圧力だとか言う者もいるだろうし。うちがいなくなってもあそこには何ら痛手はないはずだからね、彼らには『つまんないソフト』のはずだからさ(笑)前々から言ってたんだけどね。うちはあなた方の好みに合わせて作る気はないから載せなくてけっこうだって。だってそうでしょ?同じ様にリングで戦うからってボクシングとプロレスの区別も付かないで『殴ってばかりじゃつまらない』みたいな間抜けなことを言ってるようなとこにボクシングの情報載せる必要ないでしょ?それでもどうしても載せたいからって言うから提供すりゃあいも変わらず大間抜けだし。もうつき合う気はないって言っても『ファンのために情報をくれ』とか言うからさ。ファンのための記事なんか書いて無いくせに都合のいい時だけファンのためなんて言うなって。だからファンにはああいう形で伝えたわけよ。もうここには載りませんって。ま、中には大人げないっていう意見もあるだろうけど逆に大人だから言ってあげなきゃいけないんだよね。教えてあげなきゃ成長しないんだから、子供は。でもやっぱ扱いづらいんだろうな、うちは(笑)。今回の件で他の本が変に気を使わないといいけど。ごく当たり前のことをやっててもらえればごく普通の対応をしますから。でも業界のためにならないと思った本に対しては本当にはっきりしてます。実際にうちの作品の記事が全く載っていない本もあります。大抵はいっぱい載せてくれってお願いするんだろうけど業界のためにならないと判断した場合は『載せるな』って言っちゃったりする場合もあります(笑)そりゃパソパラとかの適正な感覚でページ取ってくれる分には非常にありがたいけど、仲良くなってもしくはいっぱい広告とか入れてそいでひいきして下さいっていうのは大嫌いだし、非常に次元の低いライターに書かせることがいい結果を生むとは思えないんで。ただ、広告営業の方が変に気を使ってくる場合もあるけどね。パソパラも営業的な要素が無いわけでは無いと思うよ、むしろ強い方かもしれない。編集と営業が別とは言ってもそりゃあ大広告主がいっぱい紹介しろって言えばなかなか嫌だとは言えないし。でもそれは商業誌である以上当然なんだよ。それが悪いとは思わない。ただ、編集長がそれを良しとする人物じゃないから大手じゃなくても巻頭を飾れるわけよ。だからパソパラはメーカーからの信頼もあるんじゃないのかな?今だから言うけど、昔あったPCなんとかクラブってやつ。V10の頃だ、確か。そいでV10が売り上げランキングの上位に入ったから記事を載せたいって言って来て。『売れてるやつだけ載せてればいいという本には協力したくありません』って言って断っちゃった(笑)面くらってたね、むこうも。
O:そりゃそうでしょ(笑)
P:で、本見たらランキングに入って無かったよ、V10(笑)載らないやつは売れてないやつらしい(笑)
O:そういうことをするのが一番嫌いでしょ?性格からして(笑)
P:そうそう(笑)だってさ、売れてるから載せるって本が業界のためになるとは思えないもん。そりゃその本を作ってる連中はいいかもしれないよ、とりあえず自分とこが売れりゃさ。こっちの業界がすたれりゃさっさと撤退しちゃうんだろうから。でもうちらはこの業界いい形で残していかなきゃいけないじゃない。創りたい物が自分の力で創れるような状態で次の世代にバトンタッチしなきゃいけないじゃない。『売る』ことを前提にしか物を作れなくなって堕落してしまった業界を見てきたからさ、こっちの業界までそうはしたくないじゃない。でもそういう情報操作っていうのは無くなりはしないからね。ある本がソフマップの売り上げに基づいてランキングつけましたって言っても『ソフマップワールド』と全然違うランキングだったりさ。どっちが本当か知らないけど『ソフマップワールド』がウソつく必要ってあるのかな?(笑)
O:各誌とつき合う基準というのは何かあるんですか?
P:業界及びユーザーのためになるかどうか。これだけ。ためになると思った所には積極的に協力する。この場合、協力するってのと売り込むっていうのを混同しないで欲しいんだけどね。要は業界を盛り上げてなおかつユーザーに的確な情報を届けられるような形にもっていってユーザーが判断するための手助けが出来るような形にするためにいろんな本と協力体制を取っていきましょうということですから。
O:そうですね。そのためにはユーザー側の認識も変えていってもらう必要はありますね。
P:うん、本に書いてあることを鵜呑みにしないようにして欲しいですね。どれが正しい情報かを見極める目を持つようにして欲しいです。そして、いい業界にしていきましょう。

ずいぶん長くなってしまいましたが、間違いのないよう全部書きました。以前無料で公開していたものですし、まあ問題ないでしょう。で、ソニア社長・Pウォリアー氏は、

  1. メガストアは「エロゲーはこうあるべきである」という事をユーザーに押し付けている。しかも、その押し付けの内容は実情に反したとんちんかんなものである。
  2. メガストアは、ソニアのアニメ原画を丸パクリしたゲーム*1を、パクリの事実を知りながら雑誌の付録に載せた

この2つで、この雑誌とは今後付き合うに値しないと判断し、前代未聞の「広告で絶縁宣言」をぶちかましたわけです。

さて、これの是非ですが、後者のパクリ論は難しいので置いといて、前者の問題の発端である"VIPER-V12"のクロスレビューを全文引用してみましょう。1995年の6月号です。


VIPER−V12
●オムニバスAVG ●ソニア ●98/TOWNS ●7,800円 ●18禁

大胆なアニメーションシーンがあまりにも有名なバイパーシリーズだが、今作品から、艶かしい音声も標準装備となって、さらにオイシくなった。


マリアンヌ:6点
私は実は、アニメなんてビデオでやればいいじゃない!という派だったのですが、VIPERシリーズに関してはちょっと違うみたい。あのフェラチオは毎度毎度楽しめます。パワーアップキットも出て、しゃべるようになったし(はーと)私はトトカル☆チョミの話がお気に入り。あのオチも素直に大笑いできました。

建築家千尋:6点
バイパーシリーズもついに第5弾。今回から音声を標準装備するなどその企業努力は認めるが、3話オムニバスという型はそろそろ限界かもしれない。やはり、GTSの様に単独のシナリオに絞った方が…という気がする。しかし、その技術レベルに関しては、他のメーカーの追随を許さない高レベルを堅持。まだまだその天下は続く?

写真家ピコ:5点
このシリーズを通して思う事だけど、確かに良く動く!! しかも今回は良く喋る!! でも、えっもうオシマイ…!?って思っちゃうのも事実。容量を食うのはわかるけど、もう少し内容のあるものになりませんか? もうCD−ROMぐらいじゃないと表現できないかも…。でも、それならLDやビデオを見たほうがいーか(笑)

馬鹿Y談吉:7点
“イヤー、やはりエッチな声って男の性欲に訴えるものあるわ、いいわぁ〜”と、プレイ後、思わず感嘆してしまったのだが、あのVIPERシリーズに“声”が付いたといえば当然か?なんたって肝心要のアノ時にバッチリだしな〜。一番期待してた「宇宙〜」のH度が低かったのはチト減点。次はGTSのような密度の濃い一本物を!

……さて、これが「『エロゲーはこうあるべきである』という事をユーザーに押し付けている。しかも、その押し付けの内容は実情に反したとんちんかんなものである」といえるのでしょうか? ソニアインフォメーションNo.4では「オムニバスはもうダメだ」と書かれていた、これは押し付けである……とさかんにアピールしていましたが、

  • 『3話オムニバスという型はそろそろ限界かもしれない。やはり、GTSの様に単独のシナリオに絞った方が…という気がする』
  • 『次はGTSのような密度の濃い一本物を!』

が、そんな強い押し付けには私には思えなかったのでした。結果、私はソニア作品に対し距離を取るようになり、その後ソニアは消滅と相成ったわけです。

さて、最後に資料探してて出てきたブツの写真を上げときます。

左からV6,V8,V10,GTS。中にはFDが入っていますが、今でも読めるのかなあ……。右の雑誌(メガストア)は、上が1995年6月号(V12の点数が載った号)、下が1996年6月号(「じゃあね」の広告の号)です。真ん中になるのは今(2007年)撮った写真である証明(笑)です。しかし、我ながら物持ちの良い事です。

*1:「海月製作所」の「パワースレイブ」の事と思われます