昭和46年生まれのデブおっさんが、思いつくままに一部の人にしか価値のない記事を書くブログです。
おすすめ記事の一覧はabout参照、いにしえのアーケード脱衣ゲーム「ザ・野球拳」についての記事はこちらです。

「サルまん2.0」の連載中止

たけくまメモ 今回の「サルまん」連載中止について

しばらく漫画雑誌を買っていなかった私が、これのために毎月購入を続けてきた「IKKI」でしたが、今号で連載中止となってしまいました。その経緯は、↑の「たけくまメモ」にある通りです。

以下書くことはあくまで竹熊個人の意見
とありますが、相原氏、IKKI編集部にもある程度の配慮がある、比較的主観の低い文ではないかな、と思います。連載の相原氏の部分を読んでも、大きく食い違いはないと思いますし。

要するに、二人で共同して魚屋を開いたはいいが、俺が「これからの魚屋は魚だけでは立ちゆかないから、野菜も売ろう」と言い出して、野菜を仕入れはじめたようなものです。
魚=漫画、野菜=ネット他のメディアミックス、という事ですね。「サルまん」という偉大な魚の余光で、小さい魚を売ろうとした相原氏に対し、他の関係者が理解できない「野菜」を売ろうとした竹熊氏という構図でしょうか。一ファンとしての私としては、小さい魚でも、野菜でも、どちらでも読みたくはあったのですが、こういう形になってしまい残念です。

江上編集長による「巻末詞」には、IKKI編集部としての考えが書かれています。本件にとって重要な内容と思うので、テキスト起こししてみました(苦情があれば、すぐに消します)。

今号の巻末詞は「拡大版 お詫びと訂正」のような内容になります。そう、『サルまん2.0』の終了についてです。かつての読者の方はもちろん、初めて“サルまん”体験をする皆さんにとっても、あまりに唐突とも言える終了。その経緯、理由は、多少の誇張はあるにしても、作者自身により作品内で説明されておりますので、ここで繰り返すのはやめにします。ただ、初代担当であり、且つ現編集長である立場から、ひとつだけ申し上げさせて頂くと、今回の終了は図らずも、漫画界が置かれた状況の縮図という気がしてなりません。『サルまん』をスピリッツ誌上で連載していたのが、今から15年以上前。当時、我々が全く予想できなかったのは、やはりインターネットでしょう。当時の本作内でメディアミックスも同人誌も海外版も扱われていますが、インターネットの『イ』の字も出て来ません。しかし、その後、瞬く間に拡大したネット社会。とうぜん、漫画界・出版界にも大きな影響を与えました。竹熊・相原両氏とて例外ではありません。出版事情の悪化(なかなか本が出せない)を引き金に、ブログというものに辿り着き、結果、影響力と営業力を兼ね備える『自前のメディア』を持つに至った竹熊氏。片や、同じ状況下で、紙の雑誌からデジタルに主戦場を移すことになっても、あくまで『紙と墨』という旧来の漫画表現に拘り続けていた相原氏。かつて、漫画に対する愛情と批判精神を等しく共有していた名コンビが、デジタル化の波の中で、気付くと逆方向を向いていた感すらあります。さらに(半分、洒落とは信じますが…)竹熊氏の教授就任話から垣間見える、大学・専門学校に於ける“学問としての”漫画の興隆。これは漫画の伝統芸能化なのでしょうか?−−−『サルまん』は当時の漫画現状を総ざらいした作品とも言えますが、今回の『2.0』では身を以て今の漫画状況を体現してしまったのかもしれません。忸怩たる思いを持ちつつ、未来の『サルまん』は未来の才能に託し、ここに幕を閉じさせていただきます。短い間でしたが、ご愛読ありがとうございました。(E)

これから先、どのようにすれば漫画は生き残っていけるかわからない、そんな中で漫画業界の人々は様々な方向性を探っている、その中で互いに許容する事ができない相反する方向に進む人達もいる、というところでしょうか。さて、そう語る江上編集長はどちらに向かって歩いていこうと考えているのでしょうか? 竹熊氏には『それのどこが面白いの』『そこまでアニメやネットにこだわる竹熊の意図が理解できない』と言い、相原氏には『でもそれって結局昔の「サルまん」の縮小再生産をやるってことでしょ?』『漫画の枠さえ飛び越えるような斬新な試みをやらないと、旧「サルまん」を超えることは出来ない』と言う江上氏が示すのが現在の「IKKI」だとすると……すいません、サルまん以外の漫画、全然読んでませんでした。これまた、茨の道のようです。

とにかく、雑誌で買っておいて正解でした。竹熊氏は「この作品は、おそらく単行本になりません」と言っているので、たぶんならないのでしょう。時間がある時にIKKIをばらして、自分だけの愛蔵本にしようかと思います。