この記事では、漫画アプリ「ピッコマ」で現在連載されている『Retry〜再び最強の神仙へ〜』を紹介します。
概要
万能の能力者、というのは多くの人が憧れる存在であり、そういうキャラクターを主人公として活躍させればさぞスカッとする作品がつくれるのでは?と考える人も多いかもしれません。しかし、現代社会でそういうキャラクターを出すと
- 法治社会との整合性がつかなくなる
- 「万能」であれば、何をやるにも苦労がなくなってしまい、ストーリーが成立しない
- 現代社会だと「万能」が資本主義に吸収され(「金儲けしようぜ!」という話になってしまう)、スカッと方面とはずれてしまう
という問題が発生します。対策としては
などがありますが、本作『Retry〜再び最強の神仙へ〜』では一味……どころか二味三味と違う方法が取られております。
啓友は30歳の時に現代の地球を離れ、修仙界に行き、仙界へとたどり着くための修練をしていた。 生まれつき才があったため期待されていたが、心魔にとらわれ死んでしまう。 だが気がつくと大学入学前の自分に戻っていた!これは天から与えられたチャンス! 今度こそ最強を目指す!
↑こちらがピッコマにある作品紹介ですが、大事な部分が書かれておりません。
真田啓友は20~30歳にいろいろ不幸な経験をした後、30歳の時に現代の地球を離れ、修仙界に行き、仙界へとたどり着くための修練を約500年続けた。しかし、志途中にして心魔にとらわれ死んでしまう。 だが気がつくと大学入学前の自分に戻っていた!これは天から与えられたチャンス! 昔の心残りを解決しつつ今度こそ最強を目指す!
すなわち、
- 500年の修行でほとんど究極の仙人となれるところを途中で失敗した
- それまでの修行の成果はすべて覚えているが、若い時の身体に戻ったため身体が対応できず500年の修行で得た技のかなりの部分が使えない(それでも、常人よりははるかに強い)
- 使えるようにするためにはいろんなアイテムを得て、それを身体に取り込む必要がある
- よって、あちらこちらをまわり、アイテムを集めては自らを強化する
- ついでに、前回20~30歳のいろいろ不幸な経験をやり直す
という話なのです。こういう話であれば、
- 仙人の技で何か金儲けをする
- 儲けた金でアイテムを集める
- 本人はひたすらアイテムを取り込む事に専念
で良さそうなものですが、主人公の真田啓友は他人に任せるのが嫌いなようで各所に直接乗り込む主義なのです。
- アイテム探しor過去の不幸のやり直しのためにどっかに行く
- そこにいる地位の高い人に「この若造が」みたいに言われる
- 主人公「俺は強いんだぜ? お前に偉そうにされる筋合いはない」と返す
- 戦闘。たいていの場合主人公が楽勝。ちょっと苦戦する時もあるけど、まあふつうに主人公が勝つ
- 主人公、少し強くなるor過去の問題を解決する
で話がループします。現代社会が舞台の割に「強いものこそ偉い!弱い奴は強いものに従うのが当然だ!」という前近代的(または裏社会的)理念で世の中が回っているようなのですね。主人公(通称『真田先生』)は相当傲慢なキャラクターなのですが、他の権力を持つ登場人物の多くも同じように傲慢なのでバランスが取れて(?)います。主人公も異常、他の登場人物も異常な世界にする事により、万能主人公を成立させているわけです。
もともとが中国発の漫画(「重生之都市修仙」)で、それが韓国に輸出、縦漫画(SMARTOON)化され、さらにそれが日本に入ってきた、という事情があり、世界観が妙ちくりんなものなのはその影響も大きい感じです。↑(1)~(5)の繰り返しで主人公(仙人としては「真田北峴」を名乗っている)の名はかなり知れ渡っているはずなのに↑の(2)でなめられる、というのはかなり不自然なのですが、中国語版での姓は「陳」というありきたりの名前(5番目に多い姓だそうな)だったのを日本語版で「真田」(日本では800番目くらいに多い名字)にしちゃった、というのが原因のようです。佐藤さんとか高橋さんでやってれば良かったのにねえ……
やりたい事をやるために、世界の方を捻じ曲げたような漫画です。他の漫画でいうと、トクの暴力でほとんどを解決する「野望の王国」、巨根でほとんどを解決する「男!日本海」、これらと同系列の漫画といって良いかと思います。ピッコマで10話までは無料で読めますし(web版とアプリ版(app/google)がありますが、web版はやや読みにくいのでスマホ環境があるのならアプリを入れるのがおすすめ)、11話以降も202話(2021/12/19現在)まで1日1話(通常)/半日5話(キャンペーン中)読めるので(2021年12月19日現在キャンペーン中)、「こんなクソ漫画に金を出すなんて…… くやしい!」という人でも安心して読む事ができます。読む人を選ぶ漫画ではありますが、ちょいと試してみてもらえたら、と思います。
あらすじ紹介
ピッコマでは「第*話」と作中の1コマが小さい表示で出るだけで、目次としては使いにくい……という事で、私の読んだ感じで軽くまとめたものを表にしてみました。
話 | 舞台 | あらすじ |
---|---|---|
1~14 | 大学 | 若い頃に戻ってきた真田先生、大学でイキる同級生等を〆る。地元の大物・武林の翁と(珍しく)良い関係を築く |
14~24 | オークション | アイテムゲットのため、オークションに出向く。オークションでイキる奴らを〆る |
25~34 | 武闘会 | 水面を走る男・三木泰成を〆る |
34~46 | 陰龍池 | 龍が棲む池に行き、龍を倒す |
46~54 | 軍教官 | 軍への指導を頼まれ、指導する |
54~63 | 大学 | 大学に帰り、また何人か〆る |
63~77 | 小牧市 | 高校までの地元に帰り、同級生達と会う。同級生のひとりが邪教の生贄になりそうなところを救う |
77~83 | 真田家 | 真田家内で、自分の実力を見せつける |
83~99 | 仁周市 | アイテムゲットのため仁周市へ。真田先生の霊薬を狙う富田家、薬神谷の関係者達を〆る |
99~106 | 薬神谷 | 薬神谷に乗り込み谷主を倒し、たくさんのアイテムゲット |
107~113 | 西の湖 | 三木の師匠・庚禎景と決闘、倒す |
113~117 | 仁周市 | 暗殺集団・洪門会に狙われるが返り討ちにする |
117~126 | 陵南市 | 前世の恋人・小春の在籍する大学の客員教授となる。小春との恋路を邪魔する奴らを〆る |
126~130 | 湖月邸 | 前世での恨みがある湖月家を潰す |
130~143 | 香港 | 真田先生から霊薬をもらいながらその代金を払わない張楼蘭を〆る |
143~159 | 陵南市 | 小春と結婚、小春との結婚を邪魔する奴らを〆る |
159~178 | 九州 | 九州でいろいろアイテムゲット |
178~201 | ロシア | ロシアにある貴重なアイテムを入手に行くもロシア軍に攻撃され1年間冬眠する事となる。その後ロシア軍を〆る |
201~214 | 真田家 | 日本に帰るも、真田先生が死んだと判断し真田家に歯向かう奴らが多発。そいつらに復讐を行う |
215~235 | 東南アジア等 | 続いてさらわれた美波を助けに鬼巫教本部→東南アジアへ。さらに東南アジアの宝もゲット! |
236~241 | 中海等 | 壬生漱溟戦 |
242~247 | 倉州市 | 神榜上位の達人7人と戦闘するも、ヴァンパイア・ダルモンテを逃してしまう |
248~262 | 中部アジア・ヨーロッパ | ダルモンテを追い、ヴァンパイア軍団と戦う |
263~271 | 高宗市 | 母方の実家に呼ばれ(中略)の後、ついに深山葛との戦いに! |
272~288 | 仙門入口 | 仙門からやってきた面々を〆るも、仙門から昆墟界へは(すぐには)移動できず…… |
289~292 | 真田家等 | じいちゃんを四成にしたり、裏切り者の武林会長を殺したりする |
293~296 | ブラッドシー | 宇宙への転送陣を探していると、なぜかアメリカの大富豪サカムステラに核攻撃を受ける |
297~305 | アメリカ等 | アメリカ+サカムステラに復讐。核攻撃をバンバンしてくるアメリカをものともせず撃破! |
306~329 | 昆墟界 | 仙門からやっと昆墟界へ移動、いつもの展開で昆墟界を制圧。宇宙にもちょっと行くよ! |
330~339 | 白頭山ほか | 昆墟界から帰ると地球はヘンな奴大発生で北希派ピンチ!白頭山のおろちや「教団」を潰す |
340~345 | 宇宙 | マヤのUFO軍団、および神殺しエドリンと戦う |
346~386 | 天荒星・寒泳州 | やっと本格的に宇宙進出。まずはなぜか東洋人が迫害されている寒泳州でいろんな敵を倒す |
387~425 | 天荒星・薬城 | 天荒星にて、丹薬の材料集めに勤しむ真田先生。練丹術の達人として活躍 |
426~441 | 天荒星・古魔山谷 | その奥に仙境があるという古魔山谷に行き、真武仙踪の術で守られた神道果などをゲット |
442~ | 天荒星いろいろ | 帝神教戦 |
おもしろコマ紹介
真田先生の魅力を示すため、面白いコマをいくつか紹介したいと思います。
※第1話
初っ端から表情がヤバい、主人公の顔じゃありません。「これはヤバい!」と思った人を選り分ける、素晴らしい表現です(そうか?)
※第9話
武林の翁の病を治してもらい、孫娘が感動しています。この頃だと、真田先生も登場人物もまだまとも……かもしれません。
※第12話
何だか雑っぽい女子学生の表現です。あんまり女性をきれいに描く事に、本作品は興味がないようです。
※第12話
親友さんも真田先生に感動しています。
※第14話
修行の成果が出る真田先生。この小さいキャラ表現はいったい……?
※第19話
過大評価で困っているような真田先生。まあ、この世界ひどい奴ばっかりなので、真田先生でも「温和」の部類に入ってしまうのかも?
※第26話
真田先生は基本こういう人です。温和だなあ……
※第27話
真田先生の友人・沙羅。美人のはずなのですが、描かれ方はこういうふうに妙な時もあります。
※第28話
真田先生は尊大に決まっているだろ!と突っ込まずにはいられない。
※第31話
三木泰成、水の上を走る!
※第33話
悩む三木泰成。特徴あるヒゲ。
※第63話
なぜ真田先生なのかを見せてくれます。
※第79話
真田先生のじいちゃんのお説教(?)
※第81話
また謎の心情表現です。
※第82話
真田先生は超一流だ! 凄い!
※第86話
「堂々」の文字がいい味出してます。
※第87話
真田北峴と真田啓友が同一人物と気づかない人へのコメント。
※第89話
真田先生から霊薬を奪い取ろうとする亀じいのセリフ、この世界がどういうものかよく示しております。ちなみに亀じい、この後あっさり真田先生に殺されます。
※第92話
うさんくさげな商人が凄いものを持ってきて、珍しく驚く真田先生。意味があるのかわからない下の注釈にも注目。
※第97話
戦闘ジャンキーな真田先生。
※第97・98話
負けた相手に厳しい真田先生。
※第103話
本作品、比較的まともな(?)人も出てこないわけでもないのですが、基本すぐ退場されます。
※第105話
「悪の天敵」って、真田先生こそが悪なのでは?(とかいってると首を飛ばされそう)
※第105話
残虐の限りを尽くした真田先生がその後一般人を救うのを見てびっくりする女性2名。人間にはいろいろな側面があるものなんじゃよ……
※第115話
「アセアセ」の擬音が妙にかわいい暗殺者。慌てる擬音って、何を使うのが妥当なんでしょうね? 「ドキドキ」とかかなあ……
※第115話
首を飛ばされる暗殺者。れっつ!くびちょんぱ!
※第124話
にっくき湖月衛に対する真田先生のコメント。主人公が言うセリフじゃねえ……(今更)
※第125話
さんざん脅迫しておいてから真田教授が真田北峴であると気づいたジェイソンさん。もっと早く気づけよ……
※第126話
気づくのが遅れたジェイソンさん、やっぱりくびちょんぱです。
※第127話
湖月家の隠し玉、壬生先生の若返りシーンです。
※第128話
最後に己の名を名乗って殺される、斬新な死に方の壬生天之輔先生。
※第129話
真田啓友と真田北峴が同一人物と知らない小春に対して、冗談っぽく語る真田先生。こえー……
※第136話
真田先生にババア化される張楼蘭。壬生先生と逆コースですな……
※第136話
というわけでババアとなった張楼蘭。首が飛ばなくて良かったネ!
※第138話
侮辱はさておき、挑戦だけで死んで当然とは厳しいなあ。
※第143話
正しいアセアセの使い方。
※第145話
軍との交渉で、完全な法からの自由を要求する真田先生。まあ真田先生レベルの神仙がふつうにいる社会であれば「神仙相手に揉めても国家としては守れません」となってしまうかも。
※第148話
むさ苦しいアセアセ。
※第148話
こちらはタジタジ。珍しい擬音ですが、こちらの方が妥当かも?
※第149話
小春の母からの話に驚く真田先生。驚き顔はかなり珍しいのですが……
※第150話
小春に結婚を提案されてさらに驚く真田先生。ここまで驚く顔は、今後見られるのやら?
※第150話
即答する真田先生。
※第159話
真田啓友が真田北峴である事を知り、その強さを見せつけられた小春さん。超ステキなのか……
※第160話
「ザ・銀座ホテル」とはいったい……? 「ザ・スクエアホテル銀座」というのは実際にあるそうな。
※第162話
本作品では珍しいサービスシーン。くびちょんぱはOKでも、乳首には白い光が入ります。
※第163話
自らの力を試すために、超絶頂の達人を殺そうとする真田先生。まあ超絶頂の達人なら真田先生にイキってくるだろうから、自動的に「侮辱した奴は死んで当然!」となるのかも。
※第163話
九州編は他より真田先生の判断が早いです。「子供に妖鬼を取り憑かせるような奴らは悪者だから、みんな殺して当然」って事なのかなあ……?
※第164話
真田先生の残虐ぶりに驚く雪代小百合さん。
※第164話
さすがの真田先生も、まだ米軍とは喧嘩できないそうです。
※第164話
あまり驚いてるように見えない雪代小百合の祖父・雪代一哉さん。
※第164話
えらく雑な雑魚狩りシーンです。パソコン作画ならコピペでもうちょっと何とかできるだろうに……
※第164話
術が解けて逃げる雑魚共。こちらは(コミカルながら)ちゃんと描いてるのに……
※第166話
ちょっとかわいい(?)咲村族の忍者。お気の毒に、真田先生に捕まってしまいました(この後あっさり殺された)
※第167話
左須王様の「アセッ」、かわいくない……
※第167話
「キャアキャア」だそうです。かわいくないよなあ……
※第171話
九州には九州タワーなんてものが存在したのか…… 真田先生は勉強になるなあ(違う)
※第173話
剣聖・武宮広重の「アセッ」です。
※第175話
アタフタする妖鬼さん。
※第180話
親戚の子にカニを食べさせてやる真田先生、やさしい。
※第180話
勅使河原紅貴ほかとひと悶着あった後も平気でカキを食べたがる豊くん、なかなかの大物です。
※第181話
「ほら あ~ん」、やさしい真田先生。
※第182話
虹の橋を渡る真田先生とじいちゃん・父・母・義姉。真田先生的には真田家のこの4人だけ守れれば良いようです(あと豊くんも入るか?)
※第190話
オロオロする狼族さん、かわいい。
※第193話
カゲルダンさんの「アセッ」です。
※第193~194話
カゲルダンさんとの決着がついたらいきなりこれ! 展開が凄いです。
※第194話
核爆弾でなければ死なないそうです、さすが真田先生!
※第194話
反省する真田先生。これは「ヤバそうな手段を持ってる奴は軽んずる事なくとっとと殺せ」って意味なんだろうな。
※第194話
雪原を探検する一団に日付を聞く真田先生。近未来の話だったのか…… 知らなんだ。
※第194話
術で空を飛ぶ真田先生に興味を持ち、「案内しましょうか?」と声をかける女性。ロシアでそんな安易な行動をとって大丈夫か?
※第195話
ロシア軍のでっかい基地に正面から乗り込む真田先生。モブの描き方が雑だ……
※第195話
「さすが!! ホントに強い…!!」って、ねぇ。まあホントに強いんだけどさあ。
※第196話
ロシア軍の「アセッ」です。
※第196話
「核以外には方法がありません!」、まあそうなんでしょうね。
※第196話
洪門会に情報が伝わるコマです(これは後から意味が出る)
※第197話
「えへへ」じゃねーっつーの…… このねーちゃん、真田先生が帰った後大丈夫か?
※第202話
ロシアの件はケリがついたとじいちゃんに報告する真田先生。「やっぱり啓友兄ちゃんはすごいや!」
※第203話
「帰元」って、オウム真理教の「ポア」みたいなもんか……
※第203話
山之内家、揃ってくびちょんぱ。
※第203話
戦国時代の大名のような感覚で行動する真田先生です。
※第204話
「洪門会本部や壬生家に攻め入ることなどあり得ませんもの」って、実行犯には仕返しに来るに決まってるだろ!
※第204話
壬生天之輔先生は家門の裏切り者だったのか…… とそれはさておき、自分は直接手を出していない、で真田先生が納得するとでも思っているのだろうか?
※第205話
当然の如くあっさり殺される壬生踏山先生。くびちょんぱじゃないだけ良かったか?
203話以降の感想
私のツイッターで毎週無料公開分の話の感想を書いているのですが、私のツイッターアカウントがシャドウバンされてしまったようなので(何故?)、ブログの方に別途感想まとめ記事を作成しました。
ikasuke.hatenablog.com
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よろしかったら、見てみてくださいませ。