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Netflix "DARK TOURIST JAPAN"見ました

食事に「被ばく食材かも」Netflix番組に福島県と復興庁が対応検討

話題のNetflixのドキュメンタリー番組"DARK TOURIST JAPAN"、私は実家が福島県、という事もあり、どういう内容なんだろう?と興味をそそられ、無料体験サービスで入会し、見てみました。危険を煽る嫌な感じの内容ではあるものの、デマか?というと微妙なところを突いてくる内容でした。簡単に紹介したいと思います。



内容は

  1. 2017年に避難指示を解除された富岡町の様子を見る
  2. 帰還困難地域(国道6号線)を通り、車を止めてはダメ!となっているところで車を止め、地震で壊れたゲーセンに入り込む
  3. 浪江町の食堂「キッチン・グランマ」で食事をする
  4. 原発付近であるため、復旧がほとんど進んでいない津波の被害地を見る
  5. 汚染土・草木の仮置き場を見る
  6. (とある道路を通り)「(安全基準である0.20μSv/時の)50倍まで上がった」と騒ぎになり、ツアーは途中で終了となる

というものでした。現在の福島県の状況は

となっており、「帰還困難地域」には基本入る事ができません(福島県のページより) しかし、帰還困難地域でも国道6号線は通過できる、という話があり、(6)のとある道路とは、この国道6号線ではないか、と思われます。国道6号線は

国道6号等の通過(帰還困難区域の特別通過交通制度の運用変更)について

ぶっちゃけた要約をすると

  • 国道6号線は、帰還困難地域の南北を通る、重要な道路
  • ここが通れないままだと、帰還困難地域の通過に際し支障が大きく、復旧が大変
  • よって、厳しい条件決めをした上で、国道6号線に限っては通っても良しとする

という話です。かなり放射線値が高いところであっても(最も近いところだと、事故があった原発からわずか2〜3kmしか離れていない)、通れてしまうのですね。はっきりとこのドキュメンタリーでは言ってはいませんが、ここを通ってそこでの「値が高い!」としたのだと思われます。



0.20μSv/時という基準はずっと住んだ場合(24時間365日)という条件であり、すなわち

0.20μSv/時=0.20μSv/時×24時×365日=1752μSv/年(1.7mSv/年)

となります。ふだんは0.05μSv/時のところに住んでいて、10μSv/時のところを毎日1回30分通る、とした場合

(0.05μSv/時×23.5時+10μSv/時×0.5時)×365日=1159μSv/年

と、上の値より小さくなります。こんなもんならまあいいべ、という判断を、政府および県、関係市町村はした、という事でしょう。数値の話だけであれば、まあ私もその通りだと思います。どこをどう通った上での値なのか、そこに人は住んでいるのか、このあたりを明らかにせずに危険さを煽るこのドキュメンタリーの手法には、かなり不快感があります。ただ、

危険さの煽り方は↑こういうふうな感じで、「デマ」かというと

  • 安全基準は0.2μSv/時となっている(デマではない)
  • ある道路を走っているとその50倍以上もの数値が出た(これもデマではない)
  • 数値から非常に危険と私達は思って、ツアーを中止した(これはツアーの人たちの判断なのでデマではない)
  • 「福島を安全だと帰還した人には幸運を祈る」(運が悪けりゃ死ぬよ、と言ってるようなもんだが、まあこれもデマとは言えない)

こういう微妙なところをついてきているので、抗議はし難いでしょう。



また、日本はいったん「これは一部条件を定めた上で緩和していい」と決めるとなし崩しに緩和されてしまう(例えば外国人実習生の問題など)事が珍しくないので、

『国道6号線を*年間通行可にしたけど、問題なかったね! だから@@も問題なしにしよう!』みたいな話は起きないの?

と言われれば、ないとは言えないねー、と返すよりありません。私としては、帰還困難地域の南北を通すにあたっては、より原発から遠い(値も低い)、一時停止もできない常磐道を該当区間だけ無料にする、というのが良かったのではないか、その方がこういうふうにいたずらに危険を煽るドキュメンタリーもつくられにくかったのでは、と思います。

もちろん、帰還困難区域が現在も酷い状況になっているという事は、否定できない事実です。汚染土置き場の「これからどうするの?」感も厳しいものがあります。これらについては、まじめに取り上げて欲しいものですが、動画としてはそういうのをつくっても受けないんでしょうね。



なお、「被ばく食材かもしれない」発言は、

全量全袋検査の検査結果について

↑の話とかを知っていれば「心ないなあ」とは思うものの、知らん人からすればそんなもんだろ、とも思います。福島県の食堂では、現在でも(むしろ、現在だからこそ?)「検査をして安全が確認された食材を使っています」みたいな掲示を複数外国語でした方がいいんでしょうかねえ…… それより、

↑私はこれの方が気になりました。どういう意味での内容なんでしょうね? 浪江の人じゃない、って事なんでしょうか?